かれこれ、30年近くトレーナーとしてスポーツ現場に出ています。これまで様々な外傷障害の受傷場面に遭遇してきました。
特に、初めてその場面に遭遇した記憶というのは今でも鮮明に覚えています。
今回は、忘れられないスポーツ現場でのケガとその対応についてお話しします。

最初の現場であったアメリカンフットボール、初年度にアキレス腱断裂の受傷場面に出くわしました。
ちょうどミニハードルを使ったトレーニングをしている最中でした。選手は転び、「パンッ!!」という音、選手の「誰かに後ろから蹴られた」というコメント、まさに教科書に書いてある通りでした。そして、トンプソンスクイーズテスト陽性。
「百聞は一見に如かず」身をもって体験した瞬間でした。

その後、しばらくして公式戦の最中に審判がサイドライン際で私の目の前で転び、「誰かに後ろから蹴られた」と言いました。いやいや誰もいませんよ、、、
「あれ、もしかして?」
私はすぐにアキレス腱を触り、トンプソンスクイーズテストを実施。ビンゴでした。
残念ながらその審判の方は退場、他の審判の方に交代しました。経験があって迅速に対応できた瞬間でした。
 


それから、忘れられないケガと言えば、開放性脱臼です。大変不謹慎なのですが「人間の骨は、こんなにも白いのか」と思った瞬間でした。
バレーボールチームに在籍していた時です、試合時に選手がブロックした次の瞬間、その選手は、手を押さえながらコートサイドのベンチにいる私に向かって、何かを訴えながら歩いてきました。ちょうど、顔の前で手を抑えるような形で、私には「何か白いものをつまんで持っている」様に見えました。
ベンチに座らせよくよく見ると環指のPIP関節が脱臼して基節骨が飛び出していました。
私には脱臼を整復することはできません、まず始めに頭に浮かんだことは「感染」でした。そのため、清潔なガーゼを何枚も用意して、傷を覆い保護をして、三角巾で上肢を固定した状態で、すぐに病院に搬送しました。
幸いにして、迅速に的確な処置をしていただき後遺症もなく、その後その選手は復帰することができました。
 


どういうケガの際に、何を優先して対処すべきか?
教科書には書いてあっても、なかなか現場で対応できるかどうか? そもそも、そんな外傷障害に遭遇できるかどうかわかりません。
私達の仕事は、無ければ良いに越したことはありません。でも、何かあったときに正しい対応ができるかどうかが非常に重要になってきます。
医療機関に搬送するまでの間、適格な評価と応急処置ができるかどうか? 日頃の準備と訓練が必要になってきます。

「無事に何事もなく試合終わってね」といつも祈りながら、サイドラインに立っています。

 

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