9月になりました、スポーツの秋です。多くの競技で試合・大会が行われることと思います。
読者の方々の中には、試合や大会といったスポーツイベントに関わる方も多いかもしれません。
スポーツイベントに関わる方々に必要なことの一つに「リスクマネジメント」が挙げられます。
これは、私のようなアスレティックトレーナーに限らず、運営に関わる方、指導者など試合・大会に関わる全ての人たちが知っておくべき事柄です。

スポーツの現場におけるリスクマネジメントは、「スポーツリスクマネジメント」と言われています。
スポーツ現場における事故を繰り返さないためにも、スポーツ関係者は事故の発生形態を熟知して事故発生の予防に努めるとともに、被害を最小限にするために事故発生時の対応を身につけることが求められるようになってきました。これがスポーツリスクマネジメントです。
 


スポーツリスクマネジメントには、多くのポイントがありますが、今回は特に天候などの自然条件についてふれたいと思います。

例えば、河川敷のグラウンドでサッカーの試合をしていたところ、雲行きが怪しくなりしばらくすると雷鳴が聞こえてきた…
運動会の最中、穏やかな晴れの天候であったが冷たい風が吹き始めた…
野球の大会当日、残暑が厳しい日で朝から蒸し暑く、天気予報では予想最高気温は35°を超えるらしい…
このように、スポーツ現場では自然条件による様々なリスクがあり、できる限りの対策をする必要があります。

特に、落雷によるスポーツ現場の事故は、良く聞かれる事例かと思いますが、各競技団体などでは、指針やガイドラインが示されています。

 日本サッカー協会:サッカー活動中の落雷事故の防止対策についての指針
 日本ラグビーフットボール協会:雷に関する注意(通達)
 日本陸上競技連盟:安全対策ガイドライン
 日本水泳連盟:オープンウォータースイミング(OWS)競技に関する安全対策ガイドライン
など

共通していることは、雷の音が聞こえたら、すぐに活動中止 (雷の音が止んでも20分は退避)ということです。 たとえ晴れていたとしても、雷鳴が遠くても、聞こえた時点ですぐに中止して安全な場所へ避難することです。

昨今の日本の気候の状況を考えると、落雷事故やゲリラ雷雨への対策は必須であると考えます。 特に8月から9月にかけては、より一層の注意が必要です。
屋外競技の場合は、常に天候を把握しておく、雷注意報が出ていないかを把握する必要があります。
最近は、スマートフォンに天気予報関係のアプリを入れておけば、簡単に落雷やゲリラ雷雨の予報を把握できますので活用することをお勧めします。
 


リスクマネジメントで大切なことは「最悪の事態を想定する」ということです。 「多分、大丈夫だろう・・・」ではなく、「こうなってしまったらどうしよう・・・」というマインドでいることが重要です。
その上で、事故の発生を予防するための対応(事前対応)と、事故が発生したとき最悪の状況に至らないための対応(事後対応)のことを併せて準備しておくことが必要になってきます。
「何事も無くて良かった・・・」で終われることが最も重要です。

参考:スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―(公財)日本体育協会,2016年
 

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