先日、いわゆる「ぎっくり腰」の選手の対応をしたのですが、ふと「ぎっくり」って何なんだろう?と考え込んでしまい、今回のブログのテーマにしてみました。
ぎっくり腰って1年に数名遭遇することがあるのですが、結構再発する人が多い印象です。
ぎっくり腰の語源を今流行りのchatGPTに聞いてみたところ・・・
『「ぎっくり腰」の「ぎっくり」の語源について興味があるんですね!
実は「ぎっくり」は、元々は英語の「kick」(蹴る)が由来とされています。体を突然蹴られたように感じるほどの急激な痛みを表現する言葉として使われています。』と・・・噓でしょ?
さらに調べてみたところ、
『「ぎっくり腰」の語源は、突然激しい腰痛が襲う様子を、まるで「びっくり」したかのような様子から生まれたと考えられています。
もともとは「びっくり腰」と呼ばれていたものが、転じて「ぎっくり腰」になったという説が有力です。』
ふむふむ、こちらの方がなんとなくしっくりきますね。


日本整形外科学会では、『いわゆる「ぎっくり腰」は急に起こった強い腰の痛み(腰痛)を指す一般的に用いられている名称(通称)で、病名や診断名ではありません。
何か物を持ち上げようとしたとき、腰をねじるなどの動作をしたときなどに起こることが多いですが、朝起きた直後や何もしないで起こることもあります。
痛みの原因はさまざまで、腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷などが多いと考えられます。』としています。
私もぎっくり腰になった選手を今までに対応してきたことがありますが、強い痛みのために全く動くことができなかったり、痛みによる脊柱の側弯がでたりとその症状は様々ですが、選手が痛くてつらそうな姿は皆共通しています。
欧米においては、ぎっくり腰のことを「魔女の一撃」と呼ばれており、これは、突然想像もしないような激痛が襲う様子を、「魔女がやってきた」と比喩したことから来ているとされています。
そんなぎっくり腰についての論文をみてみると、『ぎっくり腰では腰椎の前弯の減少や、消失がみられ椎間関節の側屈方向へのずれのみでなく、前後屈方向や回旋方向へのずれも否定できない。また椎間関節の運動に問題があると思われる脊柱側弯例が36%にみられた。』としています。


実際に、私が対応した選手のほとんどが、受傷直後に側弯があったことから、椎間関節に問題が起きていたのだろうと想像することができますが、ぎっくり腰を含め腰痛の原因は様々で、何が原因で発症しているのかはっきりしていない部分が多いです。
ぎっくり腰の発症を予防することもさることながら、発症した際にいかに早く回復させるかも、スポーツ現場で働くトレーナーの腕のみせどころです。

参考文献
吉田徹. いわゆるぎっくり腰の X 線所見. 日本腰痛研究会雑誌, 1998, 4.1: 42-47.
兵藤弘訓; 佐藤哲朗; 佐々木祐肇. いわゆる 「ぎっくり腰」 は椎間板性疼痛か. 日本腰痛学会雑誌, 2002, 8.1: 106-114.



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