
アスレティックトレーナー(以下AT)の職域は多岐にわたります。先日、第14回日本アスレティックトレーニング学会学術大会に参加して、あらためてATを職(仕事)にすることの可能性、職域を拡げることの重要性を感じました。一般的にATの職域は以下のように考えられています。
1. スポーツ現場
最も代表的な職域で、多くのATがここで活躍しています。プロ・実業団チーム(野球、サッカー、ラグビー、バスケなど)や大学・高校の部活動がこれに当たります。私も長らくこの現場で仕事をさせていただきました。そして、ATを目指す学生たちのほとんどがこの領域を目指しています。
2. 医療機関
病院やクリニックでも、ATの専門性が活かされます。医師、理学療法士と連携して患者さんのサポートを行います。
3. 教育機関
教員や指導者として、次世代のATを育成する立場、現在の私はこれに当たります。今までの経験や知識を学生たちに伝えていきたいです。
4. フィットネス・トレーニング施設
スポーツジム、フィットネスクラブ、パーソナルトレーニングジムなどで、一般の人への運動指導、怪我を抱える人のリコンディショニング指導や運動指導、パフォーマンス向上のためのプログラム提供などがこれに当たります。最近、ストレングス&コンディショニング系のATを目指す学生でこう言ったスタイルを考えている人も増えているように感じます。
5. 企業・産業領域(インダストリアル・アスレティックトレーニング)
労働者の健康を守る分野でも注目されています。工場や建設現場などでの身体ケア、労働災害の予防や対処、職場でのストレッチやセルフケアの指導などを実施します。今回のAT 学会でもこの領域のATの方が発表をされていましたが、大変興味深く、今後のATの可能性を感じました。
アメリカでは、軍隊や警察、消防などにもATが関わっており、今後のATの職域を考えると「AT=スポーツ」という規定概念みたいなものを壊していかないと、ATの資格は取得したけど仕事がない・・・という状況が深刻になる可能性があります。私が所属している順天堂大学のスポーツ医学研究室では、以前に全国の消防団員を対象とし、スポーツドクターをはじめ理学療法士やATが連携してプロジェクトを立ち上げ運動プログラムを開発しました。
https://sportsmed.juntendo.ac.jp/projects/topics/302/

画像提供:順天堂大学スポーツ医学研究室
ATは、怪我の予防・応急処置・リコンディショニング・パフォーマンス向上など、運動に関わるあらゆる分野で活躍できます。スポーツ現場だけでなく、医療、教育、産業など幅広い職域に進出しており、あらゆる分野の安心・安全、健康にかかわる職種であると考えます。